西洋カンナの本。

ひょんなことから、『杉田式ノコギリ木工のすべて』という本を手に入れました。

ノコギリ木工と題名がついていますが、興味があったのはこの中の「西洋カンナ」の章。

私、普段は他の木工家さんと同じように、普通の和鉋を使ってます。
でもなんというか・・・いつもモヤッとするのです。

職人がプロの道具として使うのには、もちろん優れている。
だけど一般の人が木工を始めて使うには、あまりにもハードルが高い。

皆さん、中学の時に技術科で大工道具セットを配られた覚えはありませんか?
中身は大抵「ノコギリ・ノミ・カンナ・差し金・玄翁」(今はドライバーセットとかラジオペンチとかも入ってるみたい)。

ノミもメンテナンス難しいけど、カンナは使うことすら難しかったという人が多いんじゃないでしょうか。
まず、刃の出し方や戻し方が分からない。裏金の寄せ方が分からない。
見よう見まねで木材の上をすべらせてみるも、ガタガタに傷つけちゃっておしまい、という感じかと。

大人になって職業訓練校でカンナの使い方を学んでからも、そのストイックさにはびっくりします。
まずは角度をずらさずに、刃を平らに研げるようにならなくてはいけない(裏金も同様)。
台はもちろん平らでなければいけないが、かけるときの抵抗を減らすには両端と刃口部の3点(または2点)以外を削って減らさなければならない(台は気候によって木の狂いが出るので、適宜直さなくてはならない)。
台を削りすぎて刃口が大きくなってきたら、自分で埋める。etc…
(刃の裏打ち・裏押しなど、まだまだありますが)

職人を目指す人や、こういうストイックさが好きな方には良いと思う。
だけど一般のDIY好きな人が使うには、あまりにもハードルが高い。
そのため私は木工教室でもカンナを使ってもらうことはほとんどないし、まっすぐ切るのが難しいノコギリも同様でした。

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で、この本ではなんとそのモヤモヤの大部分を、西洋カンナは解決している!と書いてあるではないですか。
 ・刃の厚みが一定なため、刃研ぎガイドが使える
 (これ知らずに買って和鉋の刃をはさんだけど、使えなかったんだよな~)
 ・裏打ちと裏押しは不要(刃裏が平らなので)
 ・台が木材でなく鋳物なので、台直しも不要
 ・刃の調節が初心者でも比較的簡単
 ・刃口の調節も可能

で、すぐに購入してみようと思った私。木工教室にも使ってみたいし。

が、お値段が・・・。
「高級な和鉋に比べて安価」という意見もあり、確かにその通りではあるのですが。
和鉋をいくつも持ってしまい、研ぎ方やらをなんとか学んで使っている身にとっては、試しに買うにはちと辛いお値段です(1万円~5万円程度)。
小さめのを5千円くらいで買えたら、試してみたいのにな~と思います(^^;

てなわけで、西洋カンナを購入しての感想でなくてすみません。

でも読み物としてはとても面白いし、治具についてのたくさんの写真も参考になります(木工の本としては珍しい)。
個人的には「そこまでドリル使ってホゾ穴掘るなら、卓上ボール盤を買おうよ!」とか、「金属加工の部分は今時はたして必要か?」とか、思う部分もありますが。

作者の方がどうしても、西洋カンナとアサリのないノコギリを使った工作について書き記したかったんだな、という熱意はすごく感じます。

例えば、これから木工の道具を揃えて行く方。
マンションなどで音を出さずに木工したい方。
にはとても参考になる本だと思います。

どなたか西洋カンナを使ってみたよ、という方がいらしたら感想をぜひお願いします!

ほんとは海外のホームセンターが日本に進出してくれたら良いのにな。
ドアとか洗面とか浴槽とか、ずらーっと並んで売ってて皆でDIYしたら楽しいと思う。
そして工具も職人向けのものからDIY用のものまで、色々と扱ってほしいなあ。

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